後に引けない

今日は白馬でガイドをやっている、TOMOKIFこと布施智基の板を触ってみたが

世界を回って、目の前にある斜面に躊躇なくドロップしていく智基の行動に付いていく

板はつくづく大変だと思った、丸2日ほどタイムマシンに乗って移動した先は

ここから十五時間のバスの旅ですお楽しみくださいと言われるのは普通らしいから

そこからさらに2日間歩いてたどり着いた斜面に雪があろうが無かろうが、滑るしかない

のは当たり前で選択肢はないだろう、まさに後に引けない事態なのだ

そのシーンに付き合わされた板も大変だったと思うが、滑り手が無事なのが不思議なほど

板のエッジはノコギリになっていた、ほぼ先端からテールまで焼きが入ってガタガタのエッジを

見たときにはこの板は終わったかもと言いそうになったが、宜しくお願いしますと言われては

文字通り後に引けない事態となった

すでに何回か削りこんでいる板なので、削れるソールは限られているところに

強いベベルを好まないのもわかっているから、調整幅は極小となる

その中に智基の好むセッティングをチューニングするのは極めて難しく

どうやって削り出そうかと考えているうちに2時間が経過していた、順番を一つ間違えると

後に戻れない緊張感のなか、慎重に削り出したソールとエッジは自分の中ではこれがベスト

だと思えるところに落ち着いたのは、本当に幸運だった、もしもさらに焼きが深かったり

傷が大きかったなら、ここに落ち着かせるのは難しかったと思う

全くもって自分だけの判断なのだが、こんな感じの板とのやり取りを日々行なっています

自分が触った板で命をかけて斜面にドロップするテスターたちを思うとき、どれだけ疲れていても

手を抜くことは許されないと肝に命じて、今日も板を触っていた

それがテスターであれ初心者であれ板に向かう気持ちはいつも同じです、この遊びが

最高の人生の時間となるように板を調律させていただく、このスタンスはいつもかわりません

お客様の板を前にしたとき、後には引けない自分がいつもいるのです   MAGICFILEMAN